最後の旅立ちを見送る事
5月某所、午前中に携帯が鳴った。
男性の利用者様が永眠され親族がいないとの事で、施設職員でご本人様を送り出したいという社長の気持ちに応えるべく、住宅型有料老人ホームにて施設葬儀を執り行わせて頂きました。
連絡を頂いた当日の夕方、施設に伺わせて頂き打ち合わせと、エンディングカット技師・納棺師によるエンディングカット・シャンプー・ヘアセット・メイク等を行った後、旅支度に移る。
エンディングカット技師とは美容免許を持ち、亡くなった方の髪をカット・シャンプーし、特殊なメイク・ヘアセットを研修を経て学び、資格が与えられる職種である。
納棺師(のうかんし)は、亡くなった方を棺に納めるために必要な処置や旅支度を行う職人。シブがき隊の本木雅弘さんが主演を務めた、『おくりびと』という映画で納棺師という存在が世間に知られることとなりました。
おくりびとがどんな事をするのかわかるのと同時に働くという事を考えさせられる本当におすすめの映画です。
エンディングカット技師によるシャンプー・カット・メイクはゆっくりと確かな表情を作り本人が生き返ったのではないかと感じさせてくれる。また所作ひとつひとつが御遺体に負担をかけない様、美容技術を許すかぎりぶつけて、優しさと力強さを感じとる事できる時間だった。
納棺師による旅支度の作法や仏衣に着替える作法は、見ているものを飲み込み居室内は神々しい空気に包み込む時間でした。
翌日納棺後、施設職員さんと施設の利用者様とでお別れ会が執り行われた。
司会進行にあわせ、献花を行いながらひとりひとりが最後のお別れの言葉をかけていく。
長年共に生活してこられた利用者様達も「がんばったね」とお花を添えていく姿に職員さんも涙がとまらない、私もぐっとこらえお別れの会を進行させて頂くのと同時に、人生の最後、旅立ちをどう迎えるのが、人として何がいいのかをいつも自問自答する。
生前、食事が取れなくなってくる中で、職員さんたちの手厚いターミナル介護を施され、たくさんの方に見守られながら亡くなり、見送られ、人の最後とはなんなのかを考え、そこに答えを求めつつ前に進み続け応える事こそ、静岡福祉事業組合として宿命なのかと考えさせて頂いた。
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